主催: 日本ホウ素・ホウ化物研究会
共催: 公益社団法人 日本表面真空学会
後援: 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)
研究会趣旨:「日本ホウ素・ホウ化物研究会(The Society of Boron, Borides and Related Materials of Japan)」は、ホウ素、ホウ化物およびホウ素を含んだ関連する化合物の科学的な基礎と応用の研究を振興し、その発展を図ることを目的としています。本研究会(workshop)では、本分野で活躍される研究者をお招きしてご講演をいただき、参加者の口頭講演及びポスター発表も行います。情報交換及び議論の場としてご活用していただけたら幸いです。多数のご参加をお待ちしております。
日時: 2024年2月16日(金)、17日(土)
開催場所: 東京大学柏の葉キャンパス駅前サテライト
〒277-0871 千葉県柏市若柴178−4−4
https://www.satellite.u-tokyo.ac.jp
参加料: 無料
(予定されている交流会では別途会費を徴収いたします.)
参加登録:以下より参加登録をお願いいたします。
交流会など開催に関する情報を送らせていただきます。
講演申込:上記参加登録を行なった上で、テンプレートをダウンロードし、ワードとPDFファイルをメール(jsbb16abstract@gmail.com)でお送りください。
〆切:2024年2月1日(木)2024年2月8日(木)[延長しました]
担当者:松田巌 (東京大学)、近藤剛弘 (筑波大学)、桃沢愛(東京都市大学)
(連絡先:imatsuda@issp.u-tokyo.ac.jp)
招待講演者(敬称略):============
安藤康伸 (産業技術総合研究所)
中川剛志 (九州大学)
藤岡正弥 (産業技術総合研究所)
益田隆嗣 (東京大学)
安田琢麿(九州大学)
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招待講演:ご講演題目・要旨
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安藤康伸 (産業技術総合研究所)============
講演題目:低次元性を有するホウ化物に関する理論研究
講演要旨:ホウ素は多中心結合を構成できるため多様な結晶相や化合物構造をとることが知られている。本講演では、特に低次元性を有するホウ化物(HB, CuB, LiB)に着目をし、電子状態の観点からの理論的な解析研究について述べる。また、ホウ化水素分子の理論予測についても紹介し、2次元HBシートとの関連性についても議論する。
[1] Y. Ando et al., Homotopic Analysis of Quantum States in Two-Dimensional Polymorphs by a Herringbone Lattice Model, Phys. Rev. B 106, 195106 (2022).
[2] Y. Tsujikawa, YA et al., Structural and Electronic Evidence of Boron Atomic Chains, Phys. Rev. B 106, 205406 (2022).
[3] Y. Ando et al., Prediction of a Cyclic Hydrogenated Boron Molecule as a Promising Building Block for Borophane, Molecules 28, 3 (2023).
中川剛志 (九州大学)============
講演題目:遷移金属表面上でのホウ素薄膜:ホウ化物とボロフェン
講演要旨:近年単層ホウ素薄膜であるボロフェンが盛んに報告されている。これらボロフェンは主に固溶体を形成しない貴金属や白金族の表面上で作製されているが、ホウ素が多数の同素体を持つことを反映して多相共存することが多い。我々はホウ素が固溶する遷移金属であるNiやMoの表面においてホウ素薄膜を作製している。講演では表面―ホウ素間の強い結合から単一相が形成されることや表面ホウ化物が形成されることを紹介する。
藤岡正弥 (産業技術総合研究所) ============
講演題目:共有結合性骨格からの弱結合イオン除去
講演要旨: シリコンクラスレートNa24Si136やNaAlB14は共有結合性の骨格と、弱く結合したNaイオンで構成された結晶構造を有する。このような物質から、結晶構造を大きく変えずに弱結合イオン種のみを取り除くことができれば、物質の準安定な状態を引き出し、新たな機能を付与できる可能性がある。一方で、電子伝導性を有するこれらの物質は、静電遮蔽の効果により、電界を駆動力とした固体内部からのNa除去は困難である。講演では、電子伝導性材料中の特定イオンを化学ポテンシャル勾配により駆動し、拡散除去する合成技術について紹介する。
益田隆嗣 (東京大学物性研究所)
講演題目:中性子散乱とホウ素
講演要旨:中性子散乱は、物質のダイナミクスと構造を観測する実験手法として、物理学、化学、材料工学、生物学、医学など幅広い分野で利用されている。この実験手法にとって、中性子をよく吸収するホウ素は、様々な場面で重要な役割を果たしている。たとえば中性子の発生源である原子炉において、核燃料の連鎖反応を制御し、原子炉を安全に運用するための制御棒の主成分はホウ素である。さらに、散乱実験でバックグラウンド抑制に重要な役割を果たす遮蔽材やビーム発散角を調整するコリメータにもホウ素が用いられる。本講演では、まず中性子散乱についての一般的説明を行い、次に中性子散乱で使用されているホウ素を利用した装置・製品の紹介を行う。最後に、中性子散乱研究者の立場から、ホウ素利用装置に求めることについてコメントする。
安田琢麿 (九州大学 高等研究院)============
講演題目:高速スピン変換・狭帯域発光可能な含ホウ素有機発光材料
講演要旨:次世代ディスプレイや照明への展開が期待される有機EL技術において、発光分子はその中核を担う重要な機能材料である。閉殻系有機分子では、スピン多重度の異なる一重項および三重項状態を形成することから、励起スピンダイナミクスの制御は重要な課題である。加えて高色純度の電界発光を得るため、発光スペクトルの狭帯域化も求められている。本講演では、高速スピン変換および狭帯域発光特性を有する含ホウ素有機発光材料・発光デバイスに関する研究を紹介する。(参考総説:Adv. Optical Mater. 2022, 10, 2201714)